組織の課題として語られることの多い「属人性」。
プロセスにばらつきが生まれ、基準が人によって異なり、提供価値が安定しない。
そのため、システムや制度で是正すべきものとして扱われることが多い。
確かに、それは一面の真実だろう。
しかし、もう一つの側面を見落としてはいないだろうか。
属人性とは、本来、価値の源でもある。
何かを感じ取る力。
新たな構造を見出し、組み立てる力。
これらはすべて個人に依存するものであり、極めて属人的な能力だ。
戦略や企画といった領域もまた、本質的には個人技であり、属人性から生まれる。
新規事業はその典型である。
これをプロセスや標準で回そうとするのは、極めて既存事業的な発想だ。
だが、既存事業の深化に慣れた組織ほど、この発想に引き寄せられる。
既存事業にどっぷり浸かっていると、
属人性は「悪」であり、排除すべきものだと捉えられるようになる。
しかし、新規事業の文脈では、属人性こそが価値の源泉になる。
属人性には二種類ある。
排除すべき属人性と、伸ばすべき属人性だ。
前者は、ばらつきや再現性の欠如を生むもの。
後者は、新しい価値を生み出すための源泉となるもの。
「失われた何十年」から脱するために必要なのは、
単に属人性を排除することではない。
いかに属人性を高めるのか。
その選択こそが、これからの組織に求められているのではないだろうか。