事業開発には異なる二つの能力が必要だ。
一つは「創る能力」、もうひとつは「創らせる能力」だ。
この二つはどちらも必要であるが、同時に揃うケースは少ない。
どちらもあったとしても、この二つが噛み合うことはさらに難しい。
創る側はいわゆる事業開発の原則的な目標設定から仮説、検証、更新をロジカルに進める能力が求められる。これが簡単なようでなかなか難しい。
決まりきった評価基準のようなものはないし、断片的な情報を統合するための知識や経験が必要だ。
創らせる側は目標設定から投資判断、進捗評価、裁量の扱いを定量評価のみに頼らずに判断・実行する能力が求められる。これは既存事業と全く異なる。わかりやすい正解は存在しない。経営成績のトレードオフもあって、これを判断するには経営哲学が必要だ。
創る側は上記の事業開発とは別に、下から上へ、つまり創らせる側への働きかけが必要になる。創らせる側が探索の考え方、価値観、哲学を持っているとは限らない。
目標設定の考え方、投資の考え方、事業性の評価、権限のあり方・・など経営戦略、経営プロセスの基礎をアライメント、もしくは教育していかねばならない。
本に書いてあっても実行できるものではない。現実として、実行できるケースは稀だろう。
創らせる側は上から下へ、つまり創る側への働きかけが必要だ。経営が投資枠を決めて、事業評価の不確実性を飲み込み、権限を与えても・・それを実行するのは現場のチームなのだ。
現場のチームは往々にして、小さく堅実にやることしか知らない。その連中に、リスクを取り、大幅に、動的に変動する仮説更新をこなして、権限を渡して、金を使わせないといけない。こちらも本にはいろいろ書いてあるが・・経験と哲学がないとこなせない。
トップがやるぞ!と言っても足回りは動かないのが現実だ。
両利きの経営の「探索」には上記のように上下に2方向あって、こちらも両利きにならないと機能しない。
これが“両利きの事業開発”で上下方向の能力が揃い、かつアライメントできなければ進まないところが企業内の事業開発の難易度を各段にあげている。