両利きの経営とは既存事業と新規事業の価値観、評価が異なるものを同時に行う経営という意味である。既存事業は“深化”・・主力事業の絶え間ない改善を行い、新規事業は“探索”・・新しいものへの実験と行動、ということで深化と探索の価値観の違いは行動にすると相反するものが多く、一緒にはできないので両利きというわけだ。
確かに深化と探索は違いはあるが、深化にしても試行錯誤の実験は必要で挑戦するマインドは必要じゃないか。このマインドの理解があれば探索への理解もそれほど苦労はしないでも拓けるんじゃないかと引っかかっていた。
しかし、よくよく考えてみれば深化のスペースが深い事業なら新規事業など要らない。既存事業の深化を愚直に進めばよい。両利きの経営が必要になるのは既存事業が成熟し、衰退し始めている事業を営んでいる企業になる。
成熟(衰退)事業では深化の手段は最適化と無駄を排除する効率の追求になる。もちろん多少の試行錯誤的な実験はあれども、行動と評価の中心は最適化と効率化である。このマインドと新しいもの、未知なるものへの試行錯誤の実験的挑戦は180度違うものになる。
既に創ってきた事業からの価値の抽出である最適化、効率化と新しく、未知なる事業の価値創造である実験的挑戦を両立させるものが両利きの経営でこれは相当に難易度が高い。
長年の最適化と効率化で生き延びてきた企業ではなおさらだ。
両利きの経営とは言うは易く行うは難し。