自営として独立して最初に驚いたのは、「誰か紹介してくれませんか?」という依頼の多さだった。
もちろん紹介してもいいのだが、最初は「紹介する前に、まずは価値を高めることを考えてみませんか?」と声をかけていた。けれども、そう言うと大抵反応が薄く、やがて言うのをやめてしまった。
「紹介してほしい」というのは、つまり「売りたい」からだろう。でも、本来「売ること」と「価値を創ること」は切り離せない。むしろ、売るという行為は、価値を創るため、価値を検証するための手段であるべきだ。
今あるプロダクトやサービスが、完成度の高い「価値」になっているケースはほとんどない。まずは最低限の形で世に出し、それを起点にフィードバックを得ながら価値を磨き、セールスを拡大していく。そういうアプローチこそが必要だと思うのだが、「とにかく今あるものを売りたい」という発想から抜け出せていないケースが多い。
売った先に何があるのか?そこまで考えないと、たとえ売れても意味がない。
これは企業組織の中でもよくある話で、「とにかく黒字化」という呪文のような目標に似ている。
事業開発は「開発」とつく以上、将来の売上や利益を創り出すことが本質だ。にもかかわらず、既存事業の延長線上で考えられてしまい、「短期的な黒字化こそが正義」とされてしまう。
その結果、スタートアップは小さくまとまり、企業内の新規事業も「そんなもの作ってどうするの?」レベルの、当たり障りのないものに収斂していく。
事業開発において、何よりも忘れてはならないのは、「価値にフォーカスすること」だ。
My Sight
私が仕事で思ったこと、感じたこと、気になること、をメモ的に書いていきます。