事業や組織はやがて衰退モードに入る。そのとき必要になるのが「断層」だ。ここで言う断層とは、これまでの継続を断ち切り、新しい探索の流れをつくることを意味する。
しかし、この探索=断層を実行するのは極めて難しい。大きく二つの壁がある。
1. 時期の判断の難しさ
断層をつくるべき局面は明らかであるが、多くの場合は緩やかな衰退モードとして現れる。誰もが衰退に入っていることを理解していても、「今が断層をつくるべきタイミングだ」とは判断しづらい。
経験的にも、衰退モードの議論は10年以上テーブルに乗り続ける。しかし小出しの対応やお試しでは変化は起こらない。必要なのは、意志を持って大きな断層を設けることだ。投資枠・評価枠・人材枠といった根本的なレイヤーに踏み込まなければ、実現はできない。その判断と実行こそが最初の壁となる。
2. 継続の難しさ
断層をつくったとしても、探索は簡単に成果を生まない。結果が見えない時間を耐え、一貫性を持って継続するには、経営者やチームに深い信念と哲学が必要になる。これが浅ければ、必ず揺れ戻しが起こり、従来の継続路線に戻ってしまう。探索を続けるには長い時間軸が不可欠であり、ときに世代を超えて継承する覚悟が求められる。
現実には、多くの企業が断層に挑んでは揺れ戻しを繰り返し、結局は従来の継続に収斂していく。
断層=探索を継続し、一貫性を持たせるためには、未来への確信を経営チームが持ち切れるかどうかが決定的な条件となる。