選択と集中。
事業ポートフォリオの中で儲かる事業に集中し、儲からない事業は捨てよ——
よく語られる話だが、ことはそれほど単純だろうか。
財務的なスナップショットで見れば、その判断は正しい。
しかし、今儲かっている事業は、これからも儲かり続けるのか。成長できるのか。
その問いには、大きな疑問符がつく。
一方で、儲かっていない事業は、本当に筋が悪いのだろうか。
やり方がまずいだけではないのか。
そもそも、「儲かっている事業のやり方」しか知らないこと自体が、儲からない原因になっているケースも少なくない。
単純に儲からない事業を切り捨て、儲かっている事業にリソースを集中したとしても、
その事業領域自体が成長していなければ、行き着く先は縮小均衡だ。
それは時間の問題でしかない。
本質的な問題は、価値創造のやり方を、今儲かっている事業のパターンしか知らないことにある。
この状態では、仮に儲かっている事業が非成長領域に属していれば、やはりジリ貧になる。
さらに厄介なのは、新たな価値創造に挑むべき事業まで「儲からない」という理由で捨ててしまい、
出口も学習機会も同時に失ってしまうことだ。
集中すべきなのは、事業ではなく価値創造そのものではないか。
そして、選択すべきなのは、価値創造の領域や、利益モデルのパターンではないのか。
この「選択と集中」の定義や中身を議論しないまま、
新陳代謝だとか、新たな挑戦だとかを語ってみても、
それは空虚な掛け声にしか聞こえない。